東京高等裁判所 平成9年(ラ)1303号 決定 2000年1月20日
抗告人(異議申立人) 株式会社三和銀行
右代表者代表取締役 A
右代理人弁護士 小沢征行
同 秋山泰夫
同 香月裕爾
同 露木琢磨
相手方 破産者株式会社a破産管財人Y
主文
一 本件抗告を棄却する。
二 抗告費用は抗告人の負担とする。
理由
第一抗告の趣旨
一 原決定を取り消す。
二 平成四年(フ)第二三五四号事件において破産管財人が平成九年五月一二日に作成した更正配当表につき、抗告人を破産債権者として金二〇五九万二三四六円を配当する。
第二抗告の理由
本件別紙「即時抗告申立書」の「抗告の理由」及び平成九年七月二五日付け準備書面一に記載のとおりである。
第三事案の概要及び当裁判所の判断
一 当裁判所も、抗告人の本件異議申立ては理由がなく、却下すべきものと判断する。その理由は、次のとおり付加、訂正するほかは、原決定「理由」に記載のとおりであるから、これを引用する。
1 原決定六頁末行から同七頁初行にかけての「後段にいう不足額」を「後段に規定する「弁済ヲ受クルコト能ハサリシ債権額」(以下「不足額」という。)」に改め、同七頁二行目の「明確」の前に「具体的に」を加え、同六行目の「債権額」から同七行目の「決まって」までを「債権額は担保権を実行し担保物を換価して」に改め、同末行の「換価」の次に「手続」を加える。
2 原決定八頁三行目の「根抵当権制度を知らない」を「根抵当権が民法に規定される以前に制定された」に、同六行目の「現行根抵当法」を「昭和四六年法律九九号による現行根抵当権に関する規定」に各改める。
3 原決定八頁末行の「確定」の前に「根抵当権の実行が終了する前において」を加え、同九頁初行の「本来」から同二行目末尾までを「その不足額の内容も、元本・利息・損害金という各費目の具体的な数額は不確定であり、根抵当権を実行するまでは、現実に債権をどの程度回収できるかどうかは明らかにならない。」に改める。
4 原決定九頁三行目の「ついて」の次に「当然に」を、同九行目の「両者間」から同一〇行目の「実際に」までを「根抵当権も抵当権の一つであるのに、両者間にこのような差異を認める合理的理由は存しない(抗告人は、「極度額」が存する点において、一般の抵当権とは異なると主張するが、根抵当権者が当該担保物件の換価において極度額を超えて弁済を受けることがあり得ることは後記のとおりである以上、極度額が存することをもって右の差異を是認する根拠として十分なものではない。)上、」に改め、同行目の「民法」の前に「前記」を加える。
5 原決定一一頁八行目及び同一〇行目の「権利の行使」を「「権利ノ行使」」に、同一二頁八行目から同九行目にかけての「肯認されよう、同条三項」を「肯認される(同条三項)」に各改める。
6 原決定一六頁九行目の次に、次のとおり加える。
「なお、本件では、平成九年六月一一日、原決定別紙物件目録記載の不動産に係る破産者の清算人B弁護士とアポロ印刷株式会社との間で右不動産が不動産が一億六三〇〇万円で売却され、抗告人も右同日一億円の弁済受け、原決定別紙根抵当権目録記載一ないし三の根抵当権を合意解除し、その旨の登記をしたことが認められるが、右事実は、前記判断を左右するものではない。」
二 以上の次第であって、原決定は相当であるから、本件抗告を棄却し、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 筧康生 裁判官 滿田忠彦 鶴岡稔彦)
<以下省略>